フリーイラストレーター・アーティスト。雑誌をメインに、毒気と愛らしさをかもしだすイラストやコミックエッセイを執筆。
- 30代後半から40代にかけては、体型にも変化が訪れる時期でもあります。その中でのオシャレの楽しみ方、キレイへの探求心といった部分でお話をお聞きしたいのですが。
- 渡辺: 40歳を越えたあたりから変わりましたね。私は服を選ぶ基準として、出してもいいところは出し、隠したほうがいい部分は隠すといったように、丈などに気をつかうようになりました。いろんなショップで試着をして、NGな丈やシルエットがわかってきたので、選ぶのも早くなりましたよ。 私は丈がひざより少し上ぐらいがベスト。平松さん、すごく細くてうらやましい!(笑)
- 平松: というか、弱いんですよ。すぐ体調を崩して、ご飯が食べられなくなってしまい、結果、自然断食みたいな(笑)。
- 天井: それは体質的なものですね。体質や体重にも個人差がありますし、年齢に合った体重というのもあるので、20代の自分と比べたりしないほうがいい。よく「若い頃みたいに45kgに戻りたい!」という方がいらっしゃいますが、今の自分に合った体重を見つけることのほうが大事ですよ。食生活と睡眠、生活習慣を整えれば、今の自分に合った体重になりますから。それぞれの体質もあるので、改善するところはしつつ、あまり無理をせず、うまくつき合っていくほうがいいんです。
CanCamのファッションディレクターを経て会社を設立。コラム執筆や講演会に多数出演するなど幅広く活躍。
- この年代って、いわゆる“オバさん”になってしまうか、諦めずに留まるかの瀬戸際のような気もします。そのあたりについてはどうですか?
- 渡辺: はい、私、32歳で出産後に太って、肌の感じもちょっと変わったなって時があって、一度投げ出しました(笑)。 好きな仕事もしてるし、子供もできたし、もう女というステージにいる必要もないかなと。そこから降りて“オバさん”になってしまえば、傷つかずにいられるし、ラクになるような気がしたんですね。そうしたら、どんどん卑屈になっていく自分がいたんです。写真を撮るときも「あ、私、後ろでいいです」って。やっぱり、このままじゃイカン! と思い直して、また自分なりに努力したんですよ。降りてしまう人の気持ちは、すごくわかります! でも、“諦めたら終わり!”なんです。
- 平松: 私が降りたのはもっと早くて、22歳ぐらいのとき。21歳でデザイン事務所に入って、ボロボロになるまで働いていたときに、もう人に会うのもイヤになっちゃったんです。それでなぜか遺跡調査会に入ったんですけど、メンバーが年配の方ばかりだったこともあって気づいたら、服もメイクも簡単でいいやってなってしまっていたんですね。それでふと(調査会の)みんなで撮った写真を見たら、22歳とは思えない見た目になってて(笑)。「「こんなのダメ!」と思って、アパレルのアルバイトを始めて、オシャレ心を取り戻したんですけど(笑)。
有名人がお忍びで通うサロン、インティバ加圧サロン「Splash」代表・アドバイザー
- 女性らしく、オシャレしようという意識を放棄すると、彩りを失ってしまうと。
- 渡辺: そうですね。オシャレとかどうでもよくなるから、服にも興味なくなっちゃうし。
- 平松: そうそう。自分のことが好きでなくなってきたりね。私、実際に着るものにはすごく助けられているんですよ。朝起きるのがめんどくさいときも、好きな服を着ようと思うとテンションが上がる。だから、ちょっと無理をしてでも、自分が気持ちよくいられる服を着ていたいんです。腰が悪いけど、たまにはハイヒールも履きたいし。
- 渡辺: 定期的に気合いを入れる場っていうのは必要ですよね。服もメイクも。ダメな自分に慣れてしまうと、いざというときにいい状態に戻れなくなる。ずっと40点の自分でいると、いざというときに50点くらいしか出せなくなるんです。1週間や10日に一度くらいは80点の自分にしないと、自分の平均点が下がっちゃう。でも、ここでやっかいなのは、女の間には“なぐさめ合い文化”が存在してることなんですよ。
- 天井: わかります! でも、それは絶対にダメ! お互いに“大丈夫よ”ってヨシヨシしながら共に下がっていくより、「ダメよ、諦めちゃ!」って言ってくれる人のほうが貴重です。
- 渡辺: やっぱり、人の目を意識する瞬間を持つことは大事ですよね。特別な用事がなくても、服とメイクをきちんとして出かけてみるとか。美人とか、スタイルがいいとかの素材感とはまた違う、オシャレな人のオーラって、そういう部分も関係してると思うんです。「キレイになりたい」という素直でプラスになる欲は、投げ出さないで持っていたほうがいい。私が32歳で一度投げ出したときも、心の奥底には“やっぱりキレイになりたい”“キレイにして褒められたい”っていう気持ちに気づいてしまったからなんです。一瞬、フタをしようとも思ったんですが(笑)、無視できなかった。じゃあ、がんばるしかないなって。
- 天井: そういう意識の持ち方で、見た目や印象は全然変わってきますからね。諦めずに、服をキレイに着こなしたいという思いがあれば、普段の生活の中でもキレイを磨くことはできるんです。がんばって腹筋運動をしなくても、キッチンに立っているときにお腹に力を入れてみるとか、太ももの内側を締めてみるとか。それだけでも筋肉は鍛えられるんですよ。あとは姿勢! 姿勢を正すよう意識するだけで、やせなくても体のラインは変わります。オススメなのは、夜のストレッチ。バスタイムに湯船にしっかり浸かって、ストレッチをして次の日に疲れを残さないことが、キレイを保つ秘訣なんです。
ファッションやおしゃれに関して、20代の頃とはまた違う悩みが出て来るエンスウィート世代。体型が変わり、似合う服が見つからなくなる迷走期にこそ、積極的に服を試して客観的に判断し直すチャンス! 日々の生活に“彩り”をプラスするには、好きな服を着て出かけることも重要なこと。ラクなほうに流れてスイッチをオフにしっぱなしだと、気づかないうちに色褪せてしまう可能性も…!? ボディもセンスも、たまにはオンにして気合いを入れることを、“彩り”大人女子のたしなみとして習慣化させたいものです。